入国審査の "What brings you here?" が聞き取れない理由
入国審査の列に並んでいて、審査官に何か聞かれた。聞き返したいけれど、後ろにも人が並んでいる。 そんな経験をした方は多いのではないでしょうか。
実は、このとき聞かれているのは、たいてい次のような短い質問です。
What brings you here?
単語はすべて中学校で習うものです。それなのに、なぜ聞き取れないのでしょうか。
教科書の音と、実際の音は違う
教科書や教材の音声では、一語ずつ区切って読まれることが多いため、こう聞こえます。
What brings you here?
ところが、現場の審査官が実際に話すと、次のような音に近くなります。
Wha-brings-ya here?
文字で見れば同じ文でも、耳に届く音の形がまったく違います。ここで起きているのは、英語の「音の変化」です。
起きている3つの変化
1. つながる
前の単語の終わりと、次の単語の頭がひと続きの音になります。
pick it up → pickidup
「ピック・イット・アップ」と3つに区切って待っていると、「ピキダップ」のような1つの塊が来るので、どこにも単語が見つかりません。
"brings you" も同じです。「ブリングズ・ユー」と2語に区切るのではなく、「ブリングズヤ」のようにひと続きで流れます。
2. 消える
言いやすくするために、音がひとつ落ちます。
last night → las' night
"What brings" の What の最後の t も、はっきり発音されず、ほとんど聞こえません。「ワッ」ではなく、「ワ」と短く切れたように聞こえます。
3. 変わる
音が弱まったり、別の音に変わったりします。
meet you → meechu
"you" も、はっきりした「ユー」ではなく、弱い「ヤ」に変わります。こうして "What brings you" 全体が、「ワ・ブリングズヤ」のような音になります。
聞き取るためにできること
単語を一語ずつ探そうとする限り、この音は聞き取れません。次のように、耳の使い方を変えてみてください。
- 塊で覚える: "Wha-brings-ya here?" を、ひとつの長い単語のように覚えます。
- 定番の質問から慣れる: 入国審査、ホテル、レストランなど、場面ごとに決まった質問を、実際の音で繰り返し聞きます。
- 教材の音声だけに頼らない: きれいに区切って読まれた音声に慣れても、現地の音には届きません。
聞き取れれば、返す言葉はシンプルです。
I'm here on a business trip.
I'm here for sightseeing.
「言えない」ことより、「聞き取れない」ことのほうが、海外ではつらいものです。まずは、実際の音に耳を慣らすことから始めてみてください。